MicroAutoBox III: bus and network support
ここ数年で、特に開発の早期の段階においてですが、計算処理能力に対する要求が劇的に増加しました。制御が複雑化し、その演算負荷が高くなっていくこの傾向は、主に高度に自動化された自動運転車両の開発などだけが原因ではなく、充電テクノロジやスマート分散システムなど、あらゆる形態の電動化モビリティの進歩によっても助長されています。また、車載機能の一元化やネットワーク化がますます進んでいるため、バスおよびネットワーク通信の要件も拡大し続けています。
多数の車載制御ユニット、センサ、およびアクチュエータの関係性を記述したバス通信ファイルは、数ギガバイトのサイズに拡大しています。新機能が開発される際には、新規の制御コンポーネントは、ゲートウェイやドメインコントローラを介して、バスおよびネットワークのデータを転送、フィルタリング、または新規あるいは既存の受信者に対する中心的なネットワークノードとして拡張しなければならない場合が多くあります。たとえば、既存の車両プラットフォームに新しいドライブシステムを統合する場合などがこの例です。しかし、コストを削減しつつ、スペース的な要件やシステムの複雑性に対処するには、必要なゲートウェイコンポーネントが用意されている機能開発システムを使用して、新しい制御機能をリアルタイムに実行することが必要です。
dSPACEが提供するMicroAutoBox IIIは、局所的に要求が厳しくなる通信タスクに対処できるよう設計された小型の車載ソリューションです。
それぞれのMicroAutoBox IIIは、ホストPCや他のデバイスに接続するための3つのGigabit Ethernetインターフェースに加え、2つの車載Ethernetインターフェースを備えており、データレート100 Mbit/sまたは1,000 Mbit/sでECUネットワークに統合することができます。MicroAutoBoxのバリアントによっては、シリアルインターフェースや、CAN、CAN FD、LIN、FlexRay通信用のインターフェースも利用できます。
MicroAutoBox IIIのDS1521 Bus and Network Board搭載バリアントは、幅広いインターフェース(CAN FD×8、FlexRay AおよびB×2、車載Ethernet×6、LIN×3、DIO×6、ADC×4、シリアルインターフェース×1)と、よりいっそう強力なバス性能を備えているため、高性能のネットワーキングを要するアプリケーションに理想的に合致します。インターフェースの数が不足した場合は、設置スペースを増やすことなく別のバスおよびネットワークボードを簡単に増設できます。
システムの設定には、実装ソフトウェアConfigurationDeskをBus Managerと組み合わせて使用します。これにより、AUTOSAR(ARXML)やFIBEX、DBC、LDFなどの最新の規格やプロトコルに基いたバス通信を設計することができます。既存の車両電気システムに統合するために、セキュアオンボード通信(SecOC)、エンドトゥエンド保護、およびグローバル時刻同期(GTS)などの最新のAUTOSAR機能が、サービスベースのEthernet通信(SOME-IP)を含むすべての関連するバスシステム上で、サポートされています。
このように、MicroAutoBox IIIは監視コントローラやゲートウェイアプリケーションなど、のちに中央制御ユニットにおいて実行されるシナリオに対して理想的なプロトタイピングシステムとなります。
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